-問題-
白身魚の炊き込みご飯。味付けは基本的にちゃんとしていて、米もきちんと炊けている。具は野菜が少しと魚がたっぷり入っていて、ボリューム感と食べ応えがある。しかし、魚の匂いが強い…。臭みではないのだが口に入れた瞬間の魚感が強すぎて、ちょっと豪快な感じ…。
これをお店で出せるくらいより上品な味わいにするには、以下の方法のうち、どれを選ぶと良いだろうか?
- 醤油の量を増やす
- みりんの量を増やす
- 野菜の量を増やす
- 魚の量を減らす
- 米の量を減らす
- 煩悩を減らす
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はい!
正解は…
3でした!
分かりましたか??^^
まずは、気になる4の選択肢から見ていきましょう!
4. 単純に魚の量減らしたらええんちゃう?
たしかにそれもひとつの手なのですが、今回の場合はそうしない方がいいと思いました。なぜなら、魚とご飯の量のバランスはよく、程よい食べごたえがあったからです。
また、豪快でしたが魚のパンチ力がいい意味で出ていましたので、もし魚を減らしてしまうとその長所までスポイルされてしまう感じでした。なので、魚の量は減らさないほうがいいと思いました。
じゃあ、どうすんのよ?
ここが今回の問題のミソなんですね^^(←もったいつけ)
はい。
ここでキーワードになるのは、「足し算と引き算」という考え方です。
料理の足し算と引き算
食材の素材感は、主に風味(香り)が司ります。鼻をつまんで食べると、ほとんどの場合、何を食べているかわからなくなりますね。料理全体で、その風味のバランスをコントロールしたい時に使う法則が、この足し算と引き算という考え方です。
「いただきまーす」と食べたその一口の中に入る素材の種類が少なければ少ないほど、その素材の味がよく分かります。これが引き算の考え方。
たとえば、お刺身。魚の切り身に醤油をちょんと付けて食べるというシンプルさだから、素材の魚の味がよく分かるわけです。
もしこれが醤油じゃなくて、マヨネーズやら、赤ワインソースやら、何やら複雑な香りのするソースで食べたら、魚の味は醤油ほどはよくわからないわけです。焼肉だって最近では、素材の味を味わってほしいからと、タレではなく塩で食べさせる店もあるくらいです。
逆に、一口に入る素材の種類が多ければ多いほど、素材単体の味は分からなくなりますが、奥深さが出ます。こちらが足し算の考え方です。
たとえば、ラーメン。鶏ガラに、豚骨に、香味野菜に、ニンニクに、その他魚介系の出汁など、色々な素材を複雑に重ねていくことで、味に奥深いコクを作り出していきます。ただし、複雑に重ねていくことで、何の素材が入っているか分かりづらくなっていくのです。(なに入ってんのか全く分からんけど、おいし~!という方向性)
先程の魚の炊き込みご飯はどうすればよいのか?
炊き込みご飯は、魚の素材感が強すぎたわけですが、長所である魚の量は減らしたくないので、単純な引き算では解決できません。
ならば、使うのは「足し算」の考え方。
特定の味が強すぎるなら、他に素材を入れてあげれば、魚の味が分からなくなってきて馴染むはずです。ここで入れる素材は、なんでもいいわけではなくて、香りの相性のいい素材を選んでくださいね!
例えば、キノコ類。
これをすこし小さめに刻んで入れてあげるといいでしょう。
玉ねぎなんかでもいいと思います。他には香草の類を刻んで最後にまぶしてもいいと思います。洋風のご飯なら、バターを少量溶かして混ぜてもいいでしょう。
違う種類の味や香りが入ることで、魚の強さがやわらぎ、味と香りに深みが出てきます。
そうすると、豪快さが消え、上品さが出てくるのです。
細かいことは覚えない。考え方を理解する!
あ。
メモメモしてますねww
別に細かい具体例なんて覚えなくていいんですよ!
覚えるべきなのは、その考え方=法則です。
~素材感を操る法則~
素材の数が少ないと、素材感が引き立つ=引き算
素材の数が増えれば、素材感がボケて、奥深さが増す=足し算
これだけです。
法則さえ分かれば、応用が聞くようになり、料理が自分のモノになっていくんです。
それでは、他の選択肢も見ていきましょう♪
1. 醤油の量を増やしたい!
今回問題になっているのは、「風味」の部分ですから、確かに醤油の香りで魚の香りを抑えたい気持ちはわかります。ですが、これはおそらく難しいです。醤油には強い塩気がある以上、ある一定以上入れられません。味的にはすでにしっかり決まっていましたから、醤油を増やしてしまうと適正な塩気を超えて、塩っ辛くなってしまいます。
2. みりんはダメ?
そうですね。もちろん、みりんの香りも魚の強い香りを押さえるのに役立ちます。しかし、みりんは同時に強めの甘味を持っているので、味のバランスが崩れてしまいます。これもできれば避けたい選択肢ですね。
5. 米の量を減らすんじゃ…(プルプル)
え〜と、これは全くの逆効果ですね^^; 魚の量が多くて魚感が強すぎるのに、米の量を減らしてしまっては、余計に魚感が強まってしまいます。これは残念ながら選べない選択肢でした。
6. 煩悩を減らす
ぜひ!(人生は修業さ♪)
料理はレシピではない!
私が料理を教える時に、一貫してお伝えしていることですが、料理で大事なのはレシピではありません!むしろ大切なのは、そのレシピを使いこなすために必要な知識の方なのです。
例えば、この炊き込みご飯の話のように、何か具材を足せばいいからとその具材をまる覚えするのではなく、なぜ具材を入れるのか、何が狙いなのかといった、レシピには書かれることのない料理の基礎知識の方がよっぽど大切なのです。
それを私は「料理の法則」と呼んでいます。
もしご自身の料理に、限界や壁を感じている方がいらっしゃったら、ひょっとしたらこんな料理の法則がブレイクスルーになるのかもしれません。一人でも多くの方がレシピから離れ、料理の法則に関心を持てるように、このブログを書いています。
もっと知りたいっ!という方は、レッスンにも一度いらっしゃってみてください。ブログではとても書ききれないもっと深い内容を直接お伝えしています。これまでの料理の概念がひっくり返って、新しい世界が拓けるかもしれません!
レッスンの詳細は、下のボタンからご覧いただけます。