何かが違う…!?
「美味しいんだけどね…。」
これは実際に4ヶ月コースのレッスンであったお話です。今回のテーマは、ちょっとハイレベルなお話になってしまうかもしれませんが、料理を仕事として目指される方には、知っておいて欲しいことでもあります。
私の料理教室の4ヶ月コースのレッスンでは、受講生の皆さんに料理をお一人一品ずつ作ってきて頂いて、みんなで食べながら、どこが良かったか、どこがあまり良くなかったか、さらに良くするにはどうすればいいかなど、アイディア出しとディスカッションしています。
その中で、先日作ってきてくれた方の料理を一品、ご紹介したいと思います。
それは基本的に美味しい料理でした。味のまとまりもよく、パスタとしての基本はキチンと出来ていて、かつ、あまり食べたことがないような和テイストな仕上がり。しかも一口、二口食べれば、もっと食べたいと思えるような美味しい味でした。
季節に合った春らしい食材も使い、鶏ガラスープのベースに和食材がうまく融合している、そんな出来栄えでした。
ところが、一皿一人で全部食べられるかといったら、疑問が残ってしまったのです。全体的にやや味が強めで、ダメではないんだけれど、やや飽きてきてしまう味だったのです。
何がいけなかったのか?
料理を作る時に、ワンランク上の料理を目指すためには、一つ知っておくべき大切なことがあります。
それは、「何を食べさせる料理なのか」を意識することです。
確かに、料理の基本として、「美味しいもの×美味しいもの=とても美味しい料理」という法則があります。ですので、パスタに入っている各食材の一つ一つが美味しければ、基本的には美味しく仕上がるはずです。
ところが、料理のゴールイメージがあやふやになってしまうと、せっかく美味しく仕上がったはずの味が、ボヤけてしまうことがあるのです。
そう。食べる人が、何を食べて良いのかワカラナイというという現象です。これを食べ手に悩ませてしまった瞬間に、料理はボケてしまうのです。
今回のこの料理はまさにその状態。パスタの各食材、パーツパーツは美味しいのですが、全体で見ると何を食べさせたい料理なのか分からず、全部が主張してしまっているために、強く感じてしまうのです。
どんなゴールイメージが良い?
では、この料理はどんなゴールイメージがあれば良かったのでしょうか?
それは色々考えられます。例えば、
- 春野菜の淡い味を楽しむパスタ
- 漬物とスパゲティという一風変わった和洋折衷を楽しむパスタ
- 鶏ガラなどの鶏の美味しさを楽しむパスタ
などなど。もし最初に料理のゴールイメージを一つに絞れていれば、最初から作り方が違っていたはずです。例えば、
- 「春野菜の淡い苦味を楽しんでもらいたい」のなら、野菜はサッと火を通すに止め、しっかりと苦味と食感を残して、漬物やベーコンなどのその他の食材の味は弱めにする
- 「漬物を最大に楽しんでもらいたい」のなら、しっかりとした味の漬物を選び、その代わりにスープやその他食材の味は弱めにする
- 「鶏の美味しさを楽しんでもらいたい」のなら、鶏ガラのスープパスタにし、ベーコンの代わりに鶏ササミを選び、漬物は別に添える
などなど。
いかがでしょうか?どこにゴールを設定するかによって、各食材の扱い方や作り方が全く変わってくるのが分かると思います。
この「何を食べさせたい料理か」という視点を一つ持つことで、料理はグッと分かりやすくなります。そしてそれをサーブする時に一言添えるだけで、料理の価値が格段に上がり、食べ手に伝わる料理にすることができると思います。
どんな料理を作ったかが大事でなのではなく、料理を通して食べ手に何がが伝わったかが、料理をする人として大切な視点であると思うのです。
料理を学ぶことの大切さ
美味しい料理には、法則があります。
もしご自身の料理に、限界や壁を感じている方がいらっしゃったら、ひょっとしたらこんな料理の法則や理論がブレイクスルーになるのかもしれません。そんな想いでこのブログも書いていたりします。
このブログを一通り読むだけでも、かなり学びになると思います。私自身、修行時代に知っていれば!と思うことを中心に書いていますので、お時間の許す限り、目を通してみてください。
もっと知りたいっ!という方は、一度レッスンにいらっしゃることをオススメします。ブログではとても書ききれないもっと深い内容を直接お伝えしています。これまでの料理の概念がひっくり返って、新しい世界が拓けるかもしれません!
レッスンの詳細は、下のリンクからご覧いただけます。